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絶対音感、相対音感と語学力の意外な因果関係とは?

内山剛@外国語独学30年

2006年 東京外国語大学中国語学科卒
山口県ゆめ回廊通訳案内士(中国語、英語)
HSK6級195点(2021年)TOEIC825点 (2022年)

現在は韓国語、ベトナム語を独学で学習する独男。

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こんな方におすすめ

  • 音楽経験を語学に活かしたい人
  • 発音やリスニングが苦手で克服法を探している人
  • 音感と語学力の関係に興味がある人

「絶対音感がある人は外国語の発音も上手い」「相対音感を持つ人は語学が得意」――そんな話を耳にしたことはないでしょうか。音楽の才能と語学力の関係については昔から多くの研究があり、学習者の間でもよく話題になります。私自身もピアノを習っていた頃、音感の練習が語学に役立っているのではと感じた経験があります。

では実際に、絶対音感・相対音感は語学力にどのような影響を与えるのでしょうか。本記事では科学的知見と体験を交えて、その因果関係を深掘りしていきます。


絶対音感がもたらす強みと限界

絶対音感とは、基準音がなくても「これはド、これはレ」と即座に音の高さを判別できる能力です。音楽家にとっては強力な武器ですが、語学学習にも影響を与えると考えられています。特に声調言語(中国語やベトナム語)の学習において、絶対音感を持つ人は「音の高さの違い」に敏感で、声調を正確に識別しやすいと言われています。

実際、私が出会った中国語学習者の中で絶対音感を持つ人は、四声の区別を驚くほど早く習得していました。例えば「mā(母)」と「mǎ(馬)」の違いを即座に聞き分け、模倣もスムーズに行えていました。これは音高の絶対的な記憶が役立っていると考えられます。

しかし絶対音感には限界もあります。言語は「単音」よりも「流れ」が重要です。ネイティブの会話は音が連続し、声調やイントネーションが揺れ動きます。絶対音感を持つ人は一音ごとの高さに敏感すぎるあまり、自然な変化を「間違い」と感じてしまうことがあります。実際、絶対音感を持つ友人は「ニュースのアナウンサーと街中の会話で声調が違う」と混乱していました。つまり、絶対音感は有利である一方で、「柔軟さ」を欠くと逆に妨げになる可能性もあるのです。


相対音感が発音・リスニングに与える影響

相対音感とは、基準となる音があれば他の音との関係を正確に把握できる能力です。音楽ではメロディーの再現や移調に役立ちますが、語学でも大きなメリットがあります。

外国語の発音は「絶対的な高さ」よりも「相対的な変化」が重要です。例えば英語のイントネーションは「文の最後で上がる・下がる」といったリズムや相対的な高低で成り立っています。相対音感を持つ人はこうしたパターンを素早く捉えるのが得意で、発音やリスニングに強い傾向があります。

私自身は絶対音感を持っていませんが、相対音感的な練習(音程の上げ下げを耳で追う)をしてきたことが、中国語や英語のリスニングに役立ちました。特に中国語の四声は「第一声と第二声の違い」など、相対的な高さの差として認識すると理解しやすかったです。

また相対音感は「異なるアクセント」にも強いです。例えばスペイン語のアルゼンチン訛りや英語のイギリス訛りなど、微妙なリズムの違いを素早くキャッチできます。これは音楽で「同じ曲を違う調で演奏してもメロディーを認識できる」感覚に似ています。


音感と語学力をどう結びつけるか

絶対音感・相対音感が語学に影響するのは事実ですが、それが「必須条件」ではありません。多くの人は特別な音感を持たずとも、訓練で発音やリスニングを伸ばせます。重要なのは「音をどう捉えるか」です。

絶対音感の人は「音の高さ」を基準にできる一方で、柔軟性を失いやすいため「変化を許容する耳」を育てる必要があります。逆に相対音感の人は「関係性の変化」を捉えるのが得意なので、イントネーションや抑揚を重視した学習法が効果的です。

また、音楽的な練習法を語学に応用することも可能です。私は中国語の声調をピアノの音に置き換えて練習したことがあります。第一声を「ソ」、第二声を「ラ」などと割り当て、メロディーとして覚えると声調の違いが体感的に理解できました。これは音感がなくてもできる方法で、多くの学習者に役立ちます。

さらにリズムを意識することも大切です。英語のリズムをドラムのように刻む練習や、フランス語のリエゾンを歌うように練習するなど、音楽的アプローチは語学力を底上げしてくれます。


まとめ

絶対音感・相対音感と語学力の関係は単純な「才能の有無」では語れません。絶対音感は声調や音高の識別に強い一方、柔軟性を欠くと逆効果になることもあります。相対音感はイントネーションやリズムを捉えるのに優れ、より実用的に語学力に直結します。

私自身の経験からも言えるのは、「音感がある=語学ができる」ではなく、「音をどう捉え、どう練習に活かすか」が重要だということです。音楽的な練習法を取り入れることで、誰でも発音・リスニングを改善できます。結局、語学習得に必要なのは特別な才能よりも、耳を澄ませる姿勢と地道な練習なのです。

FAQ

Q1. 絶対音感がないと中国語やベトナム語は無理?
A. そんなことはありません。相対的な高さの違いを意識すれば十分対応できます。

Q2. 音楽が苦手でも発音は上達する?
A. はい。練習法を工夫すれば誰でも改善可能です。

Q3. 音感を鍛えるにはどうすればいい?
A. 録音して聞き直す、シャドーイングする、歌で練習するなど音楽的アプローチが効果的です。

 

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内山剛@外国語独学30年

2006年 東京外国語大学中国語学科卒
山口県ゆめ回廊通訳案内士(中国語、英語)
HSK6級195点(2021年)TOEIC825点 (2022年)

現在は韓国語、ベトナム語を独学で学習する独男。

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