こんな方におすすめ
- TOEICで高得点を取ったのに英会話に自信がない人
- 自己紹介はできるのに、その後の会話が続かない人
- 英語を勉強しているのに実際の会話で言葉が出ない人
英語学習では、自己紹介の練習が重視されます。
名前、出身地、仕事、趣味、英語を学んでいる理由などを、ある程度まとまった文章で話せるように準備する人も多いでしょう。
確かに、自己紹介は外国人と会話を始める際に役立ちます。
あらかじめ内容を考えておけば、自信を持って話せます。多少発音に自信がなくても、暗記した文章であれば比較的スムーズに言えるでしょう。
しかし、実際に海外へ行ったとき、最初に困るのは自己紹介とは限りません。
空港、ホテル、飲食店、タクシー、コンビニ、職場などでは、準備していない短いやり取りが次々に発生します。
店員から突然質問される。
早口で確認される。
聞き取れず、もう一度言ってほしいのに言葉が出ない。
相手の説明を完全に理解できないまま、とりあえずうなずいてしまう。
こうした場面では、TOEICで高得点を取っている人でも詰まることがあります。
私自身、TOEIC825点を取得し、英語を仕事や海外とのやり取りでも使ってきました。
それでも、準備していない日常会話では、聞き返し方や短い返答に迷うことがあります。
試験では、問題文を聞き、選択肢から答えを選びます。
しかし現実の会話には、選択肢も日本語訳もありません。聞き取れなければ、その場で相手に確認し、会話を前へ進める必要があります。
この記事では、TOEIC800点以上でも海外の日常会話で詰まる理由と、本当に身につけておきたい短いやり取りについて考えます。
目次
1.暗記した自己紹介より、突然の短い質問の方が難しい
自己紹介は、英会話の中でも比較的準備しやすい内容です。
自分の名前や出身地は変わりません。仕事や趣味についても、事前に使う単語や文章を決められます。
何度も練習すれば、ほとんど考えずに話せるようになります。
しかし、海外の日常生活では、相手が何を言うかを事前に決められません。
飲食店では、料理の注文以外にも質問されます。
店内で食べるのか、持ち帰るのか。
飲み物は何にするのか。
追加料金がかかる選択肢を付けるのか。
支払い方法は何か。
レシートが必要か。
こうした質問は一つひとつを見ると難しい英語ではありません。
ところが、相手が自然な速度で話すと、知っている単語でも聞き取れないことがあります。
教科書では一語ずつはっきり発音されますが、実際の会話では音がつながり、一部が弱く発音されます。
さらに、周囲が騒がしかったり、相手に訛りがあったりすると、難易度は一気に上がります。
ホテルでも同じです。
予約名を聞かれるだけだと思っていたら、朝食、保証金、チェックアウト時間、部屋の清掃、カード情報などを一度に説明されることがあります。
自分の自己紹介を流暢に話せても、相手の質問を聞き取れなければ会話は止まります。
ここで必要になるのは、長い英文を話す能力ではありません。
相手の発言から重要な単語を拾うこと。
分からない部分だけを聞き返すこと。
自分の理解が正しいか確認することです。
例えば、すべて聞き取れなくても、相手が「cash or card」と言っていると分かれば返答できます。
チェックアウトの時刻が聞き取れなければ、時刻だけをもう一度確認すればよいのです。
実際の会話では、全文を完璧に理解する必要はありません。
しかし、学校英語や資格試験では、分からない部分をその場で相手に質問する練習が不足しがちです。
そのため、英語の知識があっても、想定外の質問を受けた瞬間に頭が真っ白になります。
海外で最初に詰まるのは、難しい議論ではありません。
聞き慣れていない短い質問に、即座に反応しなければならない場面なのです。
2.英語が話せる人ほど、聞き返し方を複数持っている
英会話が得意な人は、すべての英語を一度で聞き取っているように見えるかもしれません。
しかし実際には、分からない部分を上手に確認しながら会話を続けています。
聞き返すことは、英語力が低い証拠ではありません。
相手の話を正確に理解するための会話技術です。
ところが、日本人学習者の中には、聞き返すことを失礼だと感じる人がいます。
もう一度言ってもらうのが申し訳ない。
何度も聞くと英語ができない人だと思われる。
相手を待たせたくない。
そう考えて、理解していないのに「Yes」と答えてしまうことがあります。
しかし、ホテル、病院、職場、契約、交通機関などでは、分からないまま返事をする方が危険です。
必要なのは、場面に応じた聞き返し方をいくつか持っておくことです。
単純にもう一度言ってほしい場合は、短い表現で十分です。
少しゆっくり話してほしいと伝えることもできます。
特定の単語だけが分からなかった場合は、その部分を確認します。
例えば、時間を聞き取れなかったなら、説明全体を最初から繰り返してもらう必要はありません。
時刻だけを質問すれば、相手の負担も小さくなります。
また、自分が聞き取った内容を言い直し、「この理解で合っていますか」と確認する方法もあります。
これは仕事の場面でも非常に有効です。
英語が話せる人は、会話を完璧にこなしているのではありません。
分からない部分を放置せず、会話の中で修正しています。
私自身も、海外の取引先との英語でのやり取りでは、重要な内容ほど確認するようにしています。
特に数字、数量、日付、納期、料金などは、一度聞き取れたと思っても、言い直して確認した方が安全です。
これは英語力の不足ではなく、仕事上のリスク管理です。
試験では、聞き取れなかった音声を止めることはできません。
しかし、現実の会話では相手に質問できます。
この違いを理解すると、英会話への恐怖は少し減ります。
聞き取れなかったこと自体より、聞き取れないまま会話を終えることの方が問題です。
海外へ行く前には、自己紹介を長く練習するだけでなく、聞き返し、確認、言い直しの表現を口からすぐ出せるようにしておく方が実用的です。
3.TOEICの点数と、会話を前へ進める力は別に鍛える必要がある
TOEICは、英語の語彙、文法、読解、リスニング能力を確認するうえで有用な試験です。
一定以上の点数を取るためには、基礎的な英語力が必要です。
そのため、TOEICの勉強が無駄だという話ではありません。
私自身もTOEIC825点を取得しており、試験対策を通じて身につけた語彙やリスニング力は、仕事や海外でのやり取りに役立っています。
しかし、TOEICの点数だけでは、会話を進める力までは測れません。
試験のリスニングでは、話の内容を理解し、正しい選択肢を選びます。
一方、実際の会話では、聞いた内容に対して自分で返答を作らなければなりません。
相手の言葉を聞き取る。
何を求められているか判断する。
返答に必要な単語を選ぶ。
発音し、相手の反応を見る。
必要であれば言い直す。
これらを数秒の間に行います。
知識として分かっている英語と、瞬間的に使える英語には差があります。
その差を埋めるには、短いやり取りを繰り返し練習する必要があります。
例えば、注文、会計、道案内、ホテル、タクシー、職場の確認など、実際に起こりやすい場面を想定します。
長い模範会話を暗記する必要はありません。
相手がよく使う質問と、自分が最低限返す表現を練習します。
さらに大切なのが、一つの返答を複数の言い方で準備しておくことです。
決まった英文しか知らないと、少し状況が変わっただけで使えなくなります。
短くてもよいので、自分の言葉で言い換える練習をした方が実践的です。
また、英語を聞いたら日本語へ完全に訳してから答える癖も、反応を遅くする原因になります。
すべてを日本語に変換するのではなく、必要な情報だけを拾い、そのまま英語で返す練習が必要です。
例えば、店員から飲み物について聞かれたとき、文章全体を訳すのではなく、選択肢となる飲み物の名前を聞き取り、その中から選べば会話は成立します。
海外で必要なのは、完璧な英文を作る力よりも、会話を止めない力です。
分からなければ聞く。
聞き取れた部分だけで返す。
間違っていれば言い直す。
この繰り返しが、実用的な英会話です。
TOEIC800点は強い基礎になります。
しかし、その基礎を現実の会話で使える形に変えるには、別の練習が必要なのです。
まとめ
TOEICで800点以上を取っていても、海外の日常会話で詰まることはあります。
それは、英語力がまったくないからではありません。
資格試験で求められる力と、現実の会話で求められる力が完全には同じではないからです。
自己紹介は事前に準備できます。
しかし、店員からの突然の質問、ホテルでの説明、タクシーでの確認、職場での短いやり取りは、相手が何を言うか予測できません。
そこで必要になるのは、長い英文を流暢に話す能力だけではありません。
重要な単語を拾う力。
分からない部分を聞き返す力。
自分の理解を確認する力。
短い言葉で返答し、会話を前へ進める力です。
英語ができる人も、すべてを一度で聞き取っているわけではありません。
相手にもう一度言ってもらい、言葉を変えて説明してもらい、自分の理解が正しいか確認しています。
聞き返すことは恥ずかしいことではありません。
分からないまま適当に返事をするより、はるかに誠実で安全な対応です。
TOEICの点数は、英語学習の成果を示す一つの基準です。
しかし、海外で困らないためには、点数に加えて、注文、会計、ホテル、交通、仕事などの短いやり取りを練習する必要があります。
海外で最初に詰まるのは、難しい自己紹介や専門的な議論ではありません。
相手が何気なく投げかけた、たった一言の質問です。
だからこそ、海外へ行く前には自己紹介だけでなく、聞き返し方と会話のつなぎ方を先に身につけておくことをおすすめします。