こんな方におすすめ
- 英単語帳や中国語単語帳を何冊も持っている人
- 外国語教材を買うたびに安心してしまう人
- 資格試験の点数と会話力の差に悩んでいる人
外国語が話せないと感じたとき、多くの人は「自分は単語を知らなさすぎる」と考えます。
そして、新しい単語帳を買う。アプリを追加する。SNSで紹介されている教材を保存する。英単語、中国語単語、フレーズ集、例文集と、学習素材だけが増えていきます。
確かに、語彙は外国語学習の基礎です。
知らない単語は聞き取れませんし、自分で使うこともできません。ある程度の単語量がなければ、会話も読解も難しいでしょう。
しかし、単語帳を何冊も持っているのに、実際の会話では言葉が出てこない人も少なくありません。
問題は、単語を知らないことだけではありません。
知っている単語を、会話の中で使う練習が不足しているのです。
私自身、英語と中国語を長年学び、TOEIC825点、HSK6級を取得しました。資格試験の勉強を通じて、多くの単語を覚えてきました。
それでも実際の会話では、難しい単語よりも、すでに知っている簡単な単語をすぐに組み合わせる力の方が重要だと感じます。
この記事では、単語帳を増やしても外国語が話せるようにならない理由と、知っている単語を実際に使える言葉へ変える方法について解説します。
目次
単語を見て意味が分かることと、自分で使えることは別である
単語帳では、外国語を見て日本語の意味を答える練習が中心になります。
例えば、英単語を見て日本語訳を思い出す。中国語の単語を見て意味やピンインを確認する。
この練習を繰り返せば、読んだときに意味が分かる単語は増えていきます。
しかし、会話で必要なのは逆方向の力です。
自分が伝えたい内容から、必要な外国語を瞬間的に取り出さなければなりません。
しかも、単語を一つ言えば終わりではありません。
相手、時制、場所、目的などに合わせて、複数の単語を文章へ組み立てる必要があります。
単語帳で何度も見た単語でも、会話で使ったことがなければ、必要な瞬間に出てこないことがあります。
これは、知識がないからではありません。
取り出す練習をしていないからです。
外国語学習では、意味が分かる語彙を受容語彙、自分で使える語彙を発信語彙として分けて考えることがあります。
一般的に、理解できる単語の方が、自分で使える単語より多くなります。
これは外国語だけでなく、日本語でも同じです。
本やニュースで意味を理解できる言葉でも、自分の日常会話では使わないものがあります。
単語帳を増やせば、受容語彙は増えるかもしれません。
しかし、発信語彙を増やすには、実際に話す、書く、思い出すという作業が必要です。
例えば、新しく覚えた単語を使って、自分の生活に関する短い文章を作ります。
英語であれば、例文をそのまま暗記するのではなく、主語、場所、時間を自分の情報に変えます。
中国語でも同様です。
教材に書かれた文章を読むだけでなく、自分が本当に話しそうな内容へ置き換えます。
単語を覚えた回数ではなく、その単語を自分で使った回数が重要です。
会話で出てこない単語は、まだ覚えていないのではなく、使える状態まで仕上がっていないのです。
新しい教材を探す時間が、復習と実践の時間を奪っている
外国語学習では、新しい教材を探している時間が意外に長くなります。
評判の良い単語帳はどれか。
初心者向けと中級者向けのどちらがよいか。
紙の本とアプリでは、どちらが効率的か。
YouTubeやSNSでは、さまざまな教材や学習方法が紹介されています。
学習者は、より効率的な方法を探しているつもりです。
しかし、教材探しそのものが目的になり、実際に外国語へ触れる時間が減っていることがあります。
新しい単語帳を買うと、最初の数日はやる気が出ます。
ページが新しく、知らない単語が並び、勉強している実感があります。
ところが、途中から覚えられない単語が増え、進みが遅くなると、別の教材の方が自分に合うのではないかと考えます。
そして、また新しい単語帳を探します。
この繰り返しでは、一冊の内容を十分に使い切ることができません。
単語は、一度見ただけでは定着しません。
何度も思い出し、文章や会話の中で使い、時間を空けて再び触れる必要があります。
同じ単語帳を繰り返す作業は、新しい教材を始めるより退屈に感じるかもしれません。
しかし、外国語力を伸ばすのは、新しい情報を集めることではなく、必要な情報を自分の中へ定着させることです。
特に会話力を伸ばしたい場合は、単語帳のページ数を進めるだけでは不十分です。
一日の学習時間が30分しかないのであれば、20分を単語帳に使い、残りの10分で例文を声に出す、自分の文章を作る、独り言を言うといった実践が必要です。
単語帳を増やすほど、どの教材を復習すればよいのか分からなくなります。
今日はこの本、明日は別のアプリ、週末は動画教材というように学習が分散し、どの単語も中途半端になります。
教材は少なくても構いません。
重要なのは、同じ単語に何度も出会い、複数の場面で使うことです。
学習者に足りないのは、新しい教材ではなく、同じ教材を使い切る期間かもしれません。
話すためには、難しい単語より簡単な単語を組み合わせる力が必要
外国語が話せない人は、会話中に分からない単語が一つあると、そこで止まりやすくなります。
日本語で言いたい内容を思い浮かべ、それに完全に対応する英単語や中国語を探します。
見つからなければ、「この内容は外国語では言えない」と考えてしまいます。
しかし、実際の会話では、難しい単語を知らなくても、簡単な表現へ言い換えることができます。
例えば、「延期する」という単語が出てこなければ、「別の日にする」「今日はできない」「来週に変える」と言えばよいのです。
「故障した」が出てこなければ、「動かない」「使えない」「問題がある」と説明できます。
外国語が話せる人は、すべての専門用語を知っているわけではありません。
知らない言葉があっても、自分が知っている単語で説明し直しています。
この力は、単語帳だけでは身につきにくいものです。
単語帳では、一つの日本語に対して、一つの外国語を覚える形になりがちです。
そのため、学習者は正解の単語を探す癖がつきます。
しかし会話では、正解は一つではありません。
相手に意味が伝われば、多少回りくどくても会話は成立します。
話す練習では、「この日本語を英語や中国語で何と言うか」だけでなく、「その単語を使わずに説明できるか」を考えると効果的です。
例えば、身の回りの物を外国語で説明します。
名前が分からなくても、色、形、用途、置いてある場所を使って説明します。
この練習によって、知っている単語を組み合わせる力が身につきます。
私自身も英語や中国語を使う中で、難しい単語を無理に使うより、短く簡単な文章に分けた方が伝わる場面を何度も経験しました。
長い文章を完璧に作ろうとすると、文法や単語を考えている間に会話が止まります。
一文を短くし、相手の反応を見ながら補足する方が実用的です。
外国語で必要なのは、語彙数を自慢できることではありません。
限られた語彙でも、自分の考えを説明できることです。
単語帳を増やす前に、すでに知っている単語だけで、どこまで話せるか試してみる価値があります。
まとめ
外国語が話せないと感じると、多くの人は語彙不足を疑います。
確かに、単語を増やすことは必要です。
しかし、単語帳を増やすだけでは、会話で使える言葉はなかなか増えません。
単語を見て意味が分かることと、自分が伝えたい瞬間にその単語を取り出せることは別の能力です。
会話で使えるようにするには、覚えた単語を文章にし、声に出し、自分の生活に結び付ける必要があります。
また、新しい教材を探し続けると、復習と実践の時間が減ります。
何冊もの単語帳を少しずつ進めるより、一冊に絞り、何度も繰り返し、自分で使った方が定着します。
さらに、外国語で話すために、必ずしも難しい単語は必要ありません。
言いたい単語が出てこなければ、簡単な言葉へ言い換えればよいのです。
外国語が上手な人は、すべての単語を知っている人ではありません。
知らない単語があっても、会話を止めずに説明できる人です。
単語帳を買うことは簡単です。
しかし、覚えた単語を自分の言葉として使えるようにするには、繰り返しと実践が必要です。
次の教材を探す前に、今持っている単語帳から十個だけ選び、その十個を使って自分の話をしてみてください。
新しい単語を百個増やすより、すでに知っている十個を自由に使えるようにする方が、会話力は大きく変わります。