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HSK6級・TOEIC825点でも聞き取れない会話がある現実。

内山剛@外国語楽習30年

2006年 東京外国語大学中国語学科卒
山口県ゆめ回廊通訳案内士(中国語、英語)
HSK6級195点(2021年)TOEIC825点 (2022年)

現在は韓国語、ベトナム語を独学で学習する独男。

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こんな方におすすめ

  • TOEICやHSKで高得点を取ったのに会話を聞き取れない人
  • 字幕があれば分かるのに、音声だけでは理解できない人
  • 聞き取れない自分に自信を失っている人

外国語の資格で高得点を取れば、ネイティブの会話も問題なく聞き取れるようになる。

外国語を学び始めた頃は、そのように考える人も多いのではないでしょうか。

英語であればTOEIC、中国語であればHSKなど、資格試験には学習の目標を明確にし、自分の実力を客観的に確認できる利点があります。

実際、一定以上の点数や級を取得するためには、語彙、文法、読解、リスニングを継続して学ばなければなりません。

 

私自身、TOEIC825点とHSK6級を取得しています。

大学では中国語を専門的に学び、その後も中国輸入や中国の取引先とのやり取りを続けてきました。

英語についても、海外の取引先とのメールや電話、海外出張などで使用してきました。

それでも、英語や中国語の会話をすべて聞き取れるわけではありません。

相手が早口で話す。

地域独特の発音や訛りがある。

複数人が同時に話す。

周囲の音が大きい。

知らない固有名詞や業界用語が出てくる。

 

このような条件が重なると、資格試験では高得点を取れても、現実の会話では理解できないことがあります。

試験のリスニング音声は、受験者が内容を理解できるように一定の条件で作られています。

しかし、現実の会話では、話す速度、発音、話題、環境を自分で選べません。

この記事では、HSK6級やTOEIC825点を取得しても聞き取れない会話がある理由と、資格取得後に必要となる

実践的なリスニング力について解説します。

資格試験の音声と、現実の会話は条件がまったく違う

 

TOEICやHSKのリスニング問題には、正しい答えがあります。

受験者は音声を聞き、設問や選択肢を確認し、最も適切な答えを選びます。

音声は基本的に録音環境が整っており、話の内容も試験問題として成立するように作られています。

話題も、日常生活、職場、買い物、交通、予定など、ある程度予測できる範囲に収まっています。

 

一方、現実の会話には選択肢がありません。

相手が突然話題を変えることもあれば、こちらが知らない人や場所の名前を出すこともあります。

一文の途中で言い直す。

主語や目的語を省略する。

笑いながら話す。

複数の人が割り込む。

こうした要素が加わるため、試験問題よりはるかに複雑です。

 

また、試験の音声では、受験者が聞き取れる範囲の発音や速度が使われます。

しかし、日常会話では、誰も学習者向けに一語ずつ区切って話してくれません。

英語では、単語同士の音がつながり、一部の音が弱くなったり消えたりします。

教科書で覚えた単語の発音と、実際の文章の中で聞こえる音が違うため、知っている単語でも聞き取れないことがあります。

中国語でも、教材の音声と日常会話では聞こえ方が変わります。

軽声、声調変化、音の脱落、地域の発音、話す人の癖などが加わります。

普通話を学んでいても、相手が方言の影響を強く受けた発音で話せば、理解しにくくなるでしょう。

資格試験では、知らない単語があっても、前後の文脈や選択肢から正解を推測できます。

 

しかし、現実の会話では、聞き取れなかった言葉が人名なのか、地名なのか、商品名なのかさえ分からないことがあります。

資格試験で高得点を取ることと、あらゆる条件の会話を理解することは、同じ能力ではありません。

資格は外国語力の重要な土台になりますが、現実の会話には、試験だけでは経験できない不規則さがあります。

知らない単語より「知っているのに聞こえない音」が難しい

 

外国語を聞き取れないと、多くの人は自分の語彙不足を疑います。

確かに、知らない単語は聞き取れません。

しかし、実際のリスニングで厄介なのは、文字で見れば簡単に分かるのに、音声では認識できない単語です。

字幕や文章を確認した瞬間に、「こんな簡単な言葉だったのか」と驚くことがあります。

これは、単語を文字情報としては知っていても、実際の音として十分に覚えていないためです。

単語帳では、文字、発音記号、ピンイン、日本語訳などを確認します。

 

しかし、単語が文章の中に入ると、前後の音や話す速度によって聞こえ方が変わります。

英語では、単語が独立して発音されるとは限りません。

前後の音がつながり、強く読む部分と弱く読む部分が生まれます。

すべての単語を同じ強さで聞こうとすると、実際の会話についていけません。

中国語では声調が重要ですが、単語を一語ずつ練習したときと、文章の中で話されたときでは印象が異なります。

第三声の変化、軽声、儿化などが加わると、覚えた音とは違って聞こえることがあります。

 

また、話す人によっても音は変わります。

年齢、性別、出身地、話す速度、声の高さなどによって、同じ単語でも聞き取りやすさが異なります。

資格試験の音声に慣れている人は、明瞭な発音には強くても、実際の多様な話し方に対応できない場合があります。

この問題を解決するには、単語帳だけでなく、同じ単語がさまざまな文章や話者によって使われる音声を聞く必要があります。

映画、ドラマ、ニュース、インタビュー、動画、音声配信など、異なる種類の素材へ触れることが効果的です。

ただし、聞き流すだけでは十分ではありません。

聞き取れなかった部分を確認し、文字を見て、もう一度音声を聞きます。

なぜ知っている単語が聞こえなかったのかを確認することが重要です。

 

音がつながっていたのか。

弱く発音されていたのか。

自分が覚えていた発音と違っていたのか。

知らない表現と組み合わされていたのか。

この分析を繰り返すことで、文字の知識が音の知識へ変わっていきます。

リスニング力を伸ばすには、新しい単語を増やすだけでなく、すでに知っている単語の現実の聞こえ方を増やす必要があります。

外国語ができる人は、全部聞き取るのではなく会話を修正している

 

外国語を流暢に使う人を見ると、相手の言葉を一度ですべて理解しているように感じるかもしれません。

しかし、実際には聞き取れない部分を文脈から推測したり、相手に確認したりしながら会話を進めています。

外国語ができる人と、できない人の違いは、すべてを聞き取れるかどうかだけではありません。

聞き取れなかったときに、どのように対応するかという点にもあります。

例えば、重要な部分が分からなければ、もう一度言ってもらいます。

話す速度が速ければ、少しゆっくり話してほしいと伝えます。

特定の単語だけが不明であれば、その意味を質問します。

自分の理解を言い直し、相手に確認することもできます。

 

仕事では、数字、金額、日付、数量、納期などを曖昧なままにしてはいけません。

外国語が得意であっても、重要な内容は確認する必要があります。

私も海外の取引先とのやり取りでは、聞き取れたつもりでも、日付や数量などを改めて確認することがあります。

これは外国語力が低いからではありません。

誤解を防ぐための実務的な対応です。

一方、学習者は「高得点を取ったのだから、聞き返してはいけない」と考えてしまうことがあります。

HSK6級やTOEIC800点以上という実績があるほど、聞き取れないことを恥ずかしく感じるかもしれません。

しかし、資格の点数は、すべての相手や話題に対応できる保証ではありません。

 

専門用語、固有名詞、地域の話題などは、ネイティブ同士でも理解できないことがあります。

会話で重要なのは、聞き取れないことを隠すことではありません。

理解できていない部分を見つけ、必要な情報を取り直すことです。

また、会話のすべての単語を聞き取る必要もありません。

誰が、何を、いつ、どこで、どうするのか。

話の結論や重要な数字は何か。

必要な情報を選んで聞くことが大切です。

 

一語分からないだけで会話全体を諦めると、その後の内容まで聞けなくなります。

分からない部分を一時的に保留し、理解できる情報から全体を推測する力も必要です。

資格取得後に伸ばすべきなのは、満点に近い聞き取りではありません。

聞き取れない状況でも、会話の目的を達成する力です。

まとめ

 

HSK6級やTOEIC825点を取得していても、現実の会話をすべて聞き取れるわけではありません。

資格試験の音声と日常会話では、条件が大きく異なります。

試験では、録音環境、話題、発音、速度がある程度整えられています。

しかし、実際の会話では、早口、訛り、雑音、省略、言い直し、複数人の発言などが加わります。

また、リスニングで難しいのは、知らない単語だけではありません。

文字で見れば分かる単語が、音の連結や弱化、声調変化などによって聞き取れないことがあります。

資格試験で身につけた語彙を実際の会話で使えるようにするには、さまざまな話者や環境の音声へ触れる必要があります。

 

そして、外国語ができる人も、すべてを一度で理解しているわけではありません。

聞き返す。

自分の理解を確認する。

重要な情報だけを拾う。

分からない単語を文脈から推測する。

こうした対応によって会話を続けています。

資格は、外国語学習における重要な成果です。

TOEICやHSKに向けて身につけた語彙、文法、読解力、リスニング力は、実際の外国語使用にも役立ちます。

 

しかし、資格取得は完成ではありません。

整えられた試験音声から、予測できない現実の会話へ進むための出発点です。

高得点を取っているのに聞き取れないからといって、自分の学習が無駄だったわけではありません。

聞き取れない場面があるからこそ、次に身につけるべき力が明確になります。

資格の点数を守るために分かったふりをするのではなく、必要なときは堂々と聞き返してください。

外国語力とは、すべてを一度で理解する力ではありません。

理解できない状況でも、相手と協力して意味を確認し、会話の目的を達成する力です。

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