こんな方におすすめ
- 英語と中国語のどちらを勉強するか迷っている人
- 中国語は漢字があるから簡単だと思っている人
- 英語を何年勉強しても会話が苦手だと感じている人
「英語と中国語では、どちらの方が難しいですか?」
外国語学習について話していると、ときどきこういう疑問が出てきます。
日本人にとっては英語の方が身近です。
学校でも長く勉強しますし、街中にも英語はあふれています。
一方、中国語を見ると、
漢字がある。
日本語と同じ文字が多い。
だから、
「日本人なら中国語の方が簡単なのでは?」
と思う人もいるかもしれません。
私自身、英語と中国語を長く勉強し、実際の仕事や海外とのやり取りでも両方を使ってきました。
その経験から感じるのは、
「英語と中国語のどちらが難しいか」という質問には、単純には答えられない
ということです。
なぜなら、
英語には英語の難しさ。
中国語には中国語の難しさ。
があるからです。
さらに面白いのは、
日本人にとって最初は簡単に感じる部分と、ある程度勉強した後に難しくなる部分が、英語と中国語ではかなり違う
ということです。
中国語は漢字があるため、初めて文章を見ても何となく意味が想像できることがあります。
しかし、実際に話そうとすると発音で苦労します。
英語はアルファベットなので読むこと自体はすぐできます。
しかし、何年勉強してもネイティブの英語が聞き取れないことがあります。
今回は、英語と中国語を15年以上勉強・使用してきた立場から、
「日本人にとって英語と中国語は、それぞれ何が難しいのか」
について私なりに書いてみたいと思います。
結論から言えば「難しい場所が違う」
最初に私なりの結論を書いてしまうと、
英語と中国語は、難しさの種類が違う
と思っています。
かなり大ざっぱに言えば、
中国語は、
最初の発音が難しい。
英語は、
ある程度できるようになってからの壁が長い。
私はそんな感覚を持っています。
もちろん人によって違います。
発音が得意な人もいます。
文法が得意な人もいます。
外国人と話すことに抵抗がない人もいます。
しかし日本人という条件で考えると、
中国語には漢字という大きなアドバンテージがあります。
一方で発音には、日本語にはない要素がたくさんあります。
英語の場合、日本人は学校教育を通じてかなり長い期間勉強しています。
それでも、
読む。
書く。
試験問題を解く。
ことはできても、
聞く・話すになると突然難しくなる
という人は多いと思います。
だから、
「どちらが難しいか?」
より、
「自分はどの部分で苦労する可能性が高いか?」
と考えた方が、外国語学習では役に立つと思っています。
中国語は日本人にとって「読める」ことが最大の強み
中国語を勉強していて、日本人が圧倒的に有利だと思うのが、
漢字です。
例えば中国語を全く勉強していない人でも、
「银行」
「大学」
「学生」
「日本」
「中国」
「电话」
などを見ると、ある程度意味を想像できると思います。
簡体字なので日本語と形が違う場合もありますが、
「これは銀行かな」
「大学のことだろう」
と予想できます。
英語ではこうはいきません。
初めて見る英単語は、その単語を知らなければ基本的には意味が分かりません。
例えば中国語の記事を読んでいると、知らない単語が混ざっていても、
前後の漢字から何となく意味を推測できる
ことがあります。
これは日本人が中国語を勉強するうえで、かなり大きなメリットです。
私は中国語を勉強するとき、
「日本人は漢字という巨大な貯金を持った状態からスタートできる」
と考えてもいいと思っています。
だから中国語は、初級の読解だけを見ると、
思ったより簡単
と感じる人がいるかもしれません。
しかし、ここに一つ大きな落とし穴があります。
「読める中国語」と「話せる中国語」は全く違う
中国語の文章を見て、
「意味が分かる」
となると、
自分は結構中国語ができるのではないか。
と思ってしまいます。
ところが、その文章を中国人に向かって読んでみると、
全く伝わらない
ということがあります。
ここが中国語の怖いところです。
日本語では、
多少イントネーションがおかしくても意味が伝わる場面が多いと思います。
しかし中国語では、
発音。
声調。
子音。
母音。
これらが変わることで、別の言葉として聞こえることがあります。
つまり、
漢字を知っていることによって読む能力は先に伸びるのに、話す能力が追いつかない
という現象が起こりやすいのです。
私はこれが日本人の中国語学習でかなり特徴的な部分だと思っています。
中国語を始めた人が、
「文章なら何となく分かるのに、中国人が話すと全く分からない」
となる。
これは不思議なことではありません。
読む中国語と、音としての中国語はかなり違うからです。
中国語で最大の壁になりやすいのは、やはり発音
私自身、中国語学習では発音を非常に重要だと考えています。
中国語について調べると、
「四声が大切」
とよく言われます。
もちろん四声は重要です。
しかし私は、
中国語の発音=四声だけ
と思わない方がいいと思っています。
中国語には日本語にはない音があります。
例えば、
日本人には同じように聞こえてしまう子音。
舌の位置を意識しないとうまく発音できない音。
日本語の「シ」や「チ」の感覚で発音すると違う音。
こうしたものがあります。
さらに、
一文字なら発音できる。
単語なら発音できる。
しかし文章になると四声が崩れる。
ということもあります。
例えば発音練習ではきれいに、
「你好」
と言える。
しかし文章を長く話し始めると、
声調が曖昧になる。
これはよくあります。
だから私は中国語については、
単語をたくさん覚える前に、発音の基本をある程度固めた方がいい
と思っています。
これは後から直そうとすると結構大変です。
中国語の文法は英語より入りやすいと感じる部分がある
一方、中国語の文法については、
日本人にとって比較的入りやすい部分もあると思います。
例えば英語では、
I go.
He goes.
I went.
I have gone.
というように、動詞の形が変わります。
中国語では英語ほど動詞の形を変化させません。
また英語には、
a。
the。
などの冠詞があります。
日本人にとって、この冠詞はかなり難しいです。
私自身も英語を使っていて、
「ここはaなのかtheなのか」
という感覚は、非常に奥が深いと感じます。
中国語には英語と同じ意味での冠詞はありません。
そのため中国語を始めたとき、
「英語より文法がシンプルだな」
と感じる人もいると思います。
もちろん中国語にも語順や「了」「过」「着」、補語など、学習が進むと難しい部分があります。
しかし、
動詞活用。
冠詞。
名詞の複数形。
などが英語ほど複雑ではないため、
文法の入り口だけなら中国語の方が楽だと感じる人はいると思います。
英語は「知っているのに使えない」が起きやすい
一方、英語について私が強く感じるのが、
知識量と会話力が一致しにくい
ということです。
日本人は中学校、高校、大学と長期間英語を勉強します。
そのため、
単語を知っている。
文法を知っている。
文章を読める。
英語の試験ではある程度点数を取れる。
という人は珍しくありません。
しかし、
「では今から外国人と5分話してください」
となると、
急に言葉が出てこない。
このギャップがあります。
私自身も英語を使ってくる中で、
試験の英語と実際の英会話は別の能力だと感じています。
英語では、
頭の中にある知識を、その場で瞬間的に取り出す力
が必要になります。
例えば、
I would like to...
という表現を知っている。
しかし実際の会話では、
何を言おうか考えている間に相手が次の話をする。
単語を思い出しているうちに会話が進む。
こういうことが起こります。
だから英会話では、
「知っている単語を増やす」
だけでなく、
知っている英語を瞬間的に使える状態にする
ことが大切です。
英語の聞き取りは「知っている単語なのに聞こえない」が多い
英語学習で私が難しいと感じる部分の一つが、
リスニングです。
例えば、
文章として見れば全部知っている。
単語も簡単。
文法も簡単。
なのに、
ネイティブが話すと聞き取れない。
ということがあります。
これは英語では単語同士がつながったり、音が弱くなったり、消えたように聞こえたりするためです。
例えば教科書では一単語ずつ、
What / are / you / going / to / do?
と覚えます。
しかし実際の会話では、これらがきれいに一語ずつ区切られて聞こえるとは限りません。
つまり、
英単語を文字として覚えるだけでは、実際の英語の音を聞けるようにならない
ということです。
私はここが、日本人が長年英語を勉強してもリスニングに苦労する大きな理由の一つだと思っています。
中国語でももちろん聞き取りは難しいですが、
英語とはまた違う難しさがあります。
中国語は「音を間違えると単語そのものが変わる」怖さがある
英語では多少日本語訛りがあっても、文脈から理解してもらえることがあります。
もちろん発音が大きく違えば伝わりません。
しかし中国語では、
音節+声調
が単語を区別する重要な要素になります。
そのため、
「自分では同じように言っているつもり」
でも、中国人からすると別の音に聞こえていることがあります。
これは初心者にはかなり厳しいです。
特に、
自分の耳では違いが分からない。
だから自分の発音のどこが間違っているのかも分からない。
という状態になります。
つまり中国語では、
口だけではなく、耳も同時に鍛えなければならない
ということです。
正しい音を聞き分けられなければ、正しい音を再現するのも難しい。
私は中国語の発音学習では、
「発音する練習」と同じくらい、
音の違いを聞き分ける練習
が重要だと思っています。
英語は語彙の世界がとにかく広い
ある程度英語を勉強してから感じる難しさが、
語彙の広さ
です。
日常英会話なら、それほど難しい単語を大量に覚える必要はありません。
しかし、
仕事。
ニュース。
契約。
金融。
IT。
医療。
専門分野。
と世界が広がると、一気に知らない単語が増えます。
さらに英語は世界中で使われています。
アメリカ英語。
イギリス英語。
オーストラリア英語。
インド英語。
シンガポール英語。
マレーシア英語。
話者によって発音や表現もかなり変わります。
これは英語の強みでもありますが、学習者にとっては難しさでもあります。
教科書で習った英語だけ聞いていて、
「英語が聞き取れるようになった」
と思っても、
別の国の人と話すと突然聞き取れない。
ということがあります。
英語はある程度勉強してから、
世界の広さに気づく外国語
だと私は感じています。
中国語も地域が変わると聞き取りが一気に難しくなる
中国語についても、
「普通話を勉強すれば全部同じ」
というわけではありません。
中国は非常に広い国です。
地域によってアクセントも違います。
さらに方言・地域言語もあります。
もちろん仕事上のコミュニケーションでは普通話が使われる場面が多いですが、
実際に中国へ行くと、
「教科書の中国語と全然違う」
と感じることがあります。
話すスピード。
アクセント。
地域特有の言い回し。
こうした違いがあります。
私は海外で外国語を使うとき、
教科書通りの発音だけを聞ければいいわけではない
ということを強く感じます。
これは英語でも中国語でも同じです。
仕事で使うなら「正しさ」より確認する力が重要になる
英語でも中国語でも、仕事で使うようになると別の難しさが出てきます。
外国人と雑談するだけなら、
多少文法を間違えても大きな問題にはなりません。
しかし仕事では、
数字。
納期。
数量。
価格。
仕様。
住所。
契約条件。
こうしたものを間違えると問題になります。
例えば中国企業との取引で、
500個なのか。
5,000個なのか。
納期が15日なのか50日なのか。
ここを勘違いすれば、
「外国語を間違えました」
では済まない場合があります。
英語でも同じです。
だから仕事で外国語を使う場合、
私は、
流暢に話す能力以上に、確認する能力が重要
だと思っています。
「つまり○○という意味ですか?」
「念のため確認します」
「メールでも送ってください」
「数字はこちらで合っていますか?」
こうした確認ができる。
外国語で仕事をするときは、この力がかなり重要です。
試験で高得点を取ることと、仕事で使えることも違う
英語にはTOEIC。
中国語にはHSK。
など、能力を測る試験があります。
試験勉強は非常に役立ちます。
語彙が増えます。
文法も整理できます。
リスニング力も上がります。
私自身も試験勉強によって身についた部分は大きいと思っています。
しかし、
試験の点数=実際のコミュニケーション能力
ではありません。
例えば、
試験なら選択肢があります。
しかし実際の会話には選択肢がありません。
相手が何を言うか分かりません。
自分で文章を作らなければなりません。
聞き取れなければ、
「もう一度お願いします」
と言わなければなりません。
相手が怒っている場合もあります。
早口の場合もあります。
電話で音質が悪い場合もあります。
つまり、
実際の外国語には、
予想できない状況へ対応する能力
が必要になります。
だから外国語学習では、
試験勉強+実際に使う練習
の両方が必要だと私は感じています。
英語と中国語を同時に勉強すると混乱する?
私は、
必ずしも混乱するとは思いません。
むしろ英語と中国語はかなり違うので、意外と区別しやすいと思っています。
文字も違います。
音も違います。
文法も違います。
そのため、
英語と中国語が頭の中で完全に混ざってしまうことは、私の場合それほど大きな問題ではありませんでした。
むしろ面白いのは、
一つの意味を、
日本語。
英語。
中国語。
の3方向から考えられることです。
例えば、
「確認する」
という言葉を覚えるとき、
英語ではconfirm。
中国語では确认。
というように関連づける。
こうすると、
言葉ではなく意味を中心に覚える
ようになります。
これは複数言語を勉強する面白さの一つです。
日本人なら中国語と英語、どちらから始めるべき?
これは目的次第だと思います。
例えば、
海外旅行。
海外勤務。
インターネット上の情報収集。
世界中の人とのコミュニケーション。
という目的なら、英語の汎用性は非常に高いです。
一方、
中国とのビジネス。
中国旅行。
中国人とのコミュニケーション。
中国の商品仕入れ。
中国市場。
に興味があるなら、中国語を勉強するメリットはかなり大きいと思います。
私は、
「どちらが簡単だから」という理由だけで選ばない方がいい
と思っています。
外国語は短期間で完成するものではありません。
何年も付き合う可能性があります。
だから、
「自分が実際に使う可能性が高い方」
を選ぶ。
これが一番続きやすいと思います。
15年以上使って感じる「英語の難しさ」
私が英語について感じる難しさをまとめると、
ある程度できるようになってから先が長い
ということです。
基本文法を覚える。
基本単語を覚える。
簡単な文章を読む。
ここまでは進めます。
しかし、
自然なスピードを聞く。
瞬間的に返事をする。
細かいニュアンスを伝える。
相手によって違う英語を聞く。
仕事で丁寧に話す。
というレベルになると、一気に奥が深くなります。
私は英語について、
「分かる」と「使える」の間がかなり長い外国語
だと感じています。
15年以上使って感じる「中国語の難しさ」
一方、中国語で私が感じる難しさは、
初期段階から発音をごまかしにくい
というところです。
文字を見る。
意味を理解する。
文法を勉強する。
だけなら日本人には比較的入りやすいです。
しかし、
口から出す。
相手に正確に聞き取ってもらう。
中国人同士のスピードを聞き取る。
となると、一気に難しくなります。
その意味では中国語は、
読み書きだけで進むと、後から発音の借金が大きくなる外国語
だと思っています。
だから私は中国語初心者には、
単語を1000個覚えることより先に、
発音。
ピンイン。
声調。
口の形。
舌の位置。
を丁寧にやってほしいと思っています。
私なら英語と中国語で勉強方法を変える
同じ外国語だからといって、
英語と中国語を全く同じ方法で勉強する必要はないと思います。
中国語なら私は、
発音→基本文法→語彙→大量に聞く・話す
という流れをかなり重視します。
特に最初の発音を丁寧にします。
英語なら、
中学レベルの文法を整理→基本語彙→音と文章を結びつける→大量に話す
という流れを重視します。
日本人は英語について、すでに知識を持っている人が多いです。
そのためゼロから覚え直すより、
眠っている知識を使える状態にする
方が大切な場合があります。
ここは中国語とかなり違うと思います。
まとめ|英語と中国語は「どちらが難しい」ではなく「何が難しいか」が違う
英語と中国語。
どちらが日本人に難しいのか。
15年以上両方に関わってきた私の答えは、
一概には決められない
です。
中国語は、
漢字があるため読むことには入りやすい。
文法も英語よりシンプルに感じる部分がある。
しかし、
発音。
声調。
聞き取り。
の壁がかなり高い。
一方英語は、
学校教育のおかげで基礎知識を持っている日本人が多い。
アルファベットなので文字への抵抗も少ない。
しかし、
ネイティブの音を聞く。
瞬間的に話す。
細かなニュアンスを使う。
さまざまな国の英語を聞く。
というところまで進むと非常に奥が深い。
だから私は、
中国語は「最初の音の壁」が高く、英語は「使いこなすまでの距離」が長い
という感覚を持っています。
そして、もう一つ大切なのは、
外国語は難易度だけで選ばないこと
です。
英語の方が簡単だから英語。
中国語の方が簡単だから中国語。
ではなく、
自分が誰と話したいのか。
どこの国へ行きたいのか。
何の仕事をしたいのか。
何に興味があるのか。
そこから選んだ方が続きます。
外国語学習で最も強い教材は、
「この言葉を実際に使いたい」
という理由だと思っています。
そして英語か中国語のどちらか一つに決める必要もありません。
両方必要なら、両方やればいい。
私自身、英語と中国語を使ってきて感じるのは、
二つの言語を学ぶことで、それぞれの言語の特徴が逆に見えやすくなる
という面白さです。
英語を勉強することで中国語のシンプルさに気づく。
中国語を勉強することで英語の発音の特徴に気づく。
日本語との違いにも気づく。
単純に、
「どちらの言語が難しいか」
を決めるより、
それぞれの難しいところを理解して、勉強方法を変える。
私はこの考え方の方が、英語も中国語も長く続けやすいと思っています。