こんな方におすすめ
- 単語帳を何冊もやったのに会話になると言葉が出ない人
- 英語や中国語で自己紹介をすると毎回考え込んでしまう人
- 海外旅行で実際に使える外国語を身につけたい人
外国語学習では、「何単語覚えたか」が成果として分かりやすい指標になります。
英単語を100個覚えた。
中国語を50語覚えた。
単語帳を1冊終わらせた。
こうした学習はもちろん必要です。
しかし、単語をたくさん知っているのに、外国人を前にすると言葉が出てこない人も少なくありません。
その場合、さらに100個の単語を増やすよりも、今知っている単語を使って「実際に口から出せる文章」を作る方が効果的なことがあります。
そこでおすすめしたいのが、
自分が本当に使う「10文」を作る方法です。
旅行。
仕事。
自己紹介。
買い物。
レストラン。
外国人との雑談。
自分が使う可能性の高い場面から、まず10文だけ作ります。
今回は、なぜ単語だけを増やしても話せるようにならないことがあるのか。
そして「使える10文」をどう作ればいいのかを、英語と中国語の両方を例に考えていきます。
1.単語を「知っていること」と「使えること」はまったく違う
単語帳で1000語覚えたとします。
英単語を見れば日本語の意味が分かる。
中国語の漢字を見れば意味も分かる。
テストをすればかなり正解できる。
ここまで来ると、「自分は1000語知っている」と考えます。
しかし、実際の会話では違う能力が必要になります。
例えば外国人から、
「昨日は何をしましたか?」
と突然聞かれたとします。
頭の中には、
yesterday
friend
restaurant
eat
dinner
という単語が入っています。
ところが、これを文章にしようとすると止まってしまう。
主語は何にするのか。
過去形はどうするのか。
前置詞は必要なのか。
語順はどうするのか。
こうしたことを一つずつ考え始めるからです。
中国語でも同じです。
昨天、朋友、饭店、吃、晚饭。
これらの意味を全部知っていても、
「昨天我和朋友一起吃了晚饭。」
という文章がすぐ出るとは限りません。
つまり、
単語を認識する能力と、文章として取り出す能力は別です。
外国語の文章を読む場合は、目の前にヒントがあります。
相手がすでに文章を作ってくれています。
自分は意味を理解すればよいだけです。
しかし会話では、自分でゼロから言葉を組み立てなければなりません。
ここで必要になるのが「文章の型」です。
例えば英語で、
「I’m looking for ~.」
という型を一つ持っていれば、
I’m looking for a hotel.
I’m looking for a pharmacy.
I’m looking for this address.
と簡単に変えられます。
中国語なら、
「我想找~。」
という形を持っていれば、中身だけ入れ替えることができます。
この状態になると、毎回文法を一から考える必要がなくなります。
だからこそ、単語を100個覚えたあとに、
「その単語を使って何が言えるのか」
まで進めることが重要です。
単語帳は材料を集める作業です。
しかし料理を作るには、材料だけでは足りません。
組み合わせ方を覚える必要があります。
外国語も同じです。
知っている語彙を増やすだけでなく、
自分が使える形に加工する。
そこまでやって初めて、単語が会話の道具になります。
2.最初の10文は「教科書」ではなく自分の生活から作る
使える10文を作るときに重要なのが、
自分が本当に使う文章を選ぶことです。
教科書には、
「これはペンです。」
「彼は学生です。」
「私は毎週日曜日に図書館へ行きます。」
といった例文が出てきます。
文法を理解するためには役立ちます。
しかし、自分が実際に外国人と話す場面で使わない文章を何十個覚えても、なかなか実践につながりません。
そこで、自分の日常を材料にします。
例えば海外旅行が好きなら、
「日本から来ました。」
「この近くにおすすめのレストランはありますか?」
「カードで払えますか?」
「これはいくらですか?」
「駅まで歩いて何分ですか?」
こうした文章を作ります。
仕事で外国語を使いたいなら、
「納期を確認してください。」
「この仕様は変更しないでください。」
「前回のサンプルと違います。」
「価格をもう一度確認したいです。」
「明日までに回答をお願いします。」
こういった文章になります。
自分について話したいなら、
「日本出身です。」
「今は海外で働いています。」
「中国語を勉強しています。」
「週末はランニングをしています。」
「旅行が好きです。」
という形で構いません。
ポイントは、難しい文章を作らないことです。
最初から長文を覚えようとすると、使うまでに時間がかかります。
短くてよいので、何度も使える文章を選びます。
さらに、一つの文章から複数の表現を作ります。
例えば、
「I work in Malaysia.」
を覚えたら、
I live in Malaysia.
I study Chinese in Malaysia.
I started working in Malaysia this year.
というように少しずつ変えていきます。
中国語でも同じです。
一つの文章をそのまま暗記して終わるのではありません。
名詞を変える。
動詞を変える。
時間を変える。
場所を変える。
こうすると、一つの型から何本もの文章が作れます。
だから「10文」は少なくありません。
強い10文を持っていれば、そこから何十通りにも展開できます。
自分が使わない100文を覚えるより、
自分の人生に直結した10文を使い倒す。
特に会話力を伸ばしたい人には、この考え方が非常に大切です。
3.特に「試験はできるのに話せない人」は10文方式を試してほしい
単語100個より10文を優先した方がいい人には、特徴があります。
それは、
すでにある程度の知識を持っている人です。
英語なら、中学・高校で何年も勉強している。
TOEICもある程度点数が取れる。
英文を読めば内容は分かる。
中国語なら、HSKの勉強をしている。
単語帳も使っている。
漢字を見れば意味がかなり分かる。
それなのに、会話では止まってしまう。
こうした人の場合、知識そのものが不足しているとは限りません。
問題は、
知っている知識を外へ出す練習が少ないこと
にあります。
例えば英単語を3000語知っていても、会話で実際に使っているのが300語しかないことは珍しくありません。
その状態でさらに500語覚えても、「知っている単語」は増えます。
しかし、「口から出せる単語」が増えるとは限りません。
そこで、今持っている語彙を文章へ変えます。
今日は仕事について5文。
明日は食事について5文。
次は旅行について5文。
こうして自分が話せるテーマを増やしていきます。
最初は日本語を見ながらでも構いません。
次に何も見ずに言います。
その後、一部を変更します。
例えば、
「I started studying Chinese three years ago.」
という文章を覚えたら、
I started working here last month.
I started running last year.
I started this job recently.
と変えます。
中国語でも同じです。
一つの文型を繰り返し使います。
この作業を続けると、
「文法を考えてから話す」
時間が少しずつ短くなります。
話すための型が頭に入るからです。
外国語学習で怖いのは、
勉強している時間が長い=使えるようになっている
と思ってしまうことです。
単語帳を30分やれば勉強した感覚があります。
しかし、実際に5分外国語で話そうとすると何も出てこない。
そのギャップを埋める必要があります。
もし、
「読める」
「問題は解ける」
「単語も知っている」
のに、
「話せない」
のであれば、次の100語へ進む前に一度止まってください。
そして、
今持っている知識だけで、自分について10文作れるか
を試してみる。
ここから会話力が変わる可能性があります。
4.英語と中国語を同時に学ぶなら「同じ10文」を二言語で作る
英語と中国語を同時に勉強する場合、「覚える量が2倍になる」と考える人もいるでしょう。
確かに単語は別です。
英語を100語。
中国語を100語。
これなら200語覚えなければなりません。
しかし、文章の「内容」まで別々に考える必要はありません。
例えばテーマを、
自己紹介
に決めます。
まず日本語で10文作ります。
私は日本人です。
山口県出身です。
今は海外で働いています。
中国語を勉強しています。
旅行が好きです。
週末は運動しています。
この内容を英語にします。
次に同じ内容を中国語にします。
こうすると、
「今日は何について話そうか」
を二回考える必要がありません。
内容は一つです。
表現だけが二つあります。
この方法にはもう一つ利点があります。
英語と中国語の違いが分かりやすくなります。
同じ日本語を、
英語ではどう言うのか。
中国語ではどう言うのか。
語順。
動詞。
時制。
助詞に相当する表現。
こうした違いが見えてきます。
例えば「私は中国語を3年間勉強しています」という内容でも、英語と中国語では組み立て方が同じではありません。
同じ意味を二つの言語で作ることで、違いを比較しながら覚えられます。
テーマも共通化できます。
自己紹介。
買い物。
レストラン。
仕事。
旅行。
病院。
友人との会話。
各テーマ10文。
これだけでも相当な量になります。
しかも、全部自分が実際に使う可能性がある文章です。
また、二言語を同時に学ぶ場合は、
「今日は英語を20単語、中国語を20単語」
という管理だけでは疲れてしまうことがあります。
それより、
「今日はこの5文を英語と中国語で言えるようにする」
と考える方がゴールが分かりやすくなります。
外国語学習の目的は、
何単語覚えたかを競うことではありません。
実際に使えることです。
英語と中国語を同時に学ぶなら、
同じ内容を二つの言語で表現できる状態
を少しずつ増やす。
これなら学習が散らかりにくくなります。
5.単語学習はやめずに「単語→文章→自分の言葉」まで進める
ここまで読むと、
「それなら単語帳はやらなくてもいいのか」
と思うかもしれません。
それは違います。
外国語を使うためには、一定量の語彙が必要です。
知らない単語は聞いても理解できません。
文章を作ろうとしても、材料がなければ作れません。
だから単語学習は続けます。
ただし、そこで終わらせないことが重要です。
おすすめなのは、
単語→短い文章→自分の文章
という3段階です。
例えば英語で「recommend」を覚えたとします。
最初は、
recommend=勧める
と覚えます。
次に、
I recommend this restaurant.
という例文を確認します。
最後に、
Can you recommend a good restaurant?
という、自分が旅行で使える文章に変えます。
中国語なら「推荐」を覚えたあと、
这个店很好,我推荐。
のような簡単な文章で確認し、
さらに、
你有什么推荐的吗?
のように自分が使う表現へ変えます。
こうすると、一つの単語を覚えただけで終わりません。
どの位置に置くのか。
どんな単語と一緒に使うのか。
どのような場面で使うのか。
そこまで覚えられます。
さらにおすすめなのが、一週間後に同じ10文をもう一度使うことです。
最初は見ながら話す。
翌日は一部を隠す。
3日後は何も見ずに言う。
一週間後は単語を入れ替えて話す。
この繰り返しで、暗記しただけの文章が、自分の言葉へ変わっていきます。
社会人の外国語学習では、使える時間が限られています。
毎日新しい単語を大量に覚え続けるだけでは、疲れてしまいます。
そのため、
新しい知識を増やす日。
持っている知識を使う日。
この二つを作ってもよいでしょう。
最終的に重要なのは、
「今日何語覚えたか」
ではありません。
「今日、昨日まで言えなかった何を言えるようになったか」
です。
ここを学習の成果として見るようになると、外国語の勉強はより実用的になります。
まとめ|増やすべきなのは「知っている単語」だけではなく「口から出る言葉」
単語を覚えることは外国語学習の基本です。
しかし、単語数だけ増やしても、必ず話せるようになるわけではありません。
特に、
読める。
意味は分かる。
試験もできる。
それなのに話せない。
という人は、学習方法を少し変えてみる価値があります。
新しい100語を覚える前に、
自分が実際に使う10文を作る。
そして繰り返し口に出す。
一部を変える。
別の場面でも使う。
そうすることで、頭の中にある知識が実際の会話へつながっていきます。
単語は増やす。
しかし、増やした単語を放置しない。
文章へ変える。
そして自分の言葉へ変える。
外国語を「勉強している状態」から「使える状態」へ進めるためには、この一段階が非常に重要です。